Life Style Concierge の プライベート版
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ノーサンガー僧院 ヴェラ・ナザリアンのコラボ本とアンナ&エレナ・バルブッソの挿絵本

Northanger Abbey and Angels and Dragons Jane Austen ,Vera Nazarian

ジェーン・オースティン の「ノーサンガー僧院」と天使と竜たち
ヴェラ・ナザリアン著 出版


ノーサンガー僧院(ノーサンガー・アベイ)のヒロインキャサリン・モーランド。上流社会の社交界と中流家庭のヒロイン。愛読書と現実の区別がつかない17歳の少女。反ゴシックとして英国女流作家ジェーン・オースティンは相変わらず皮肉って喜劇的に書かれた小説です。

キャサリンは、ヘンリーの家ノーサンガー僧院に招待され、さまざまな空想をふくらませ大混乱。結局ヘンリーと結婚することにはなりますが、無知で誠実な少女の教訓の物語。


The Violinist by Sir Edward John Poynter, 1st Baronet, KBヴェラ・ナザリアンの「ノーサンガー僧院と天使と竜たち」の表紙はジェーン・オースティンの時代のあと、19世紀のサー・エドワード・ジョン・ポインターによる「ヴァイオリスト」が表紙中央におさまっています。

マクドナルド姉妹はエドワード・バーン=ジョーンズ、アルフレッド・ボールドウィン、ジョン・キプリング、そしてエドワード・ポインターに嫁ぎます。もしかするとエドワード・ポインターの妻アグネスでしょうか。

右上の作品は、エドワード・バーン=ジョーンズによる「フラジオレットを吹く天使」ですね。右下はアボット・セイヤーの「天使」です。左の中央はロレンツォ・ロットの受胎告知の「天使」


「ノーサンガー僧院」はTVや映画にもなるほどの人気のある18-19世紀の小説です。各国の出版社から発表されています。面白いのはジェーン・オースティンのこの世紀末の時代の小説と現代のヴェラ・ナザリアンが、この小説とコラボした「ノーサンガー僧院と天使と竜たち」です。

これほどジェーン・オースティンの「ノーサンガー僧院」は英国やヨーロッパでは読み物として評判を呼んでいるんですね。




Northanger Abbey by Jane Austen Black Cat Publishing 2010 Anna and Elena Balbusso

アンナ&エレナ・バルブッソの挿絵 「ノーサンガー僧院」


最近では姉妹アンナ&エレナ・バルブッソの挿絵の「ノーサンガー僧院」が出版されました。 絵本なので読みやすいです。

ノーサンガー僧院(ノーサンガー・アベイ)の登場人物たちは兄ジェイムズ、恋人のヘンリー・ティルニー、兄フレデリック・ティルニー、妹エレノア・ティルニー、父ティルニー将軍、ソープ兄妹などが入り乱れます。

ソープ兄妹のイザベラは裕福な財産を相続できる結婚相手を探します。それはキャサリンに幻滅を感じさせますが、当時の花嫁は、「婚資」(日本でいう結納金)が必要で、イザベラは二股をかけて結婚相手を探します。

相続財産の少ない男子は軍人、牧師、役人などになるところからみると、ティルニー家の資産の格は低かったでしょう。

Northanger Abbey by Jane Austen Black Cat Publishing 2010 Anna and Elena Balbusso

アンナ&エレナ・バルブッソの挿絵 「ノーサンガー僧院」


アンナ&エレナ・バルブッソは登場人物の肖像を挿絵にしています。当時の女性の生き方=結婚の図式のような系図に仕上げているところが面白いです。

ジェーン・オースティンといえば、「エマ」、「高慢と偏見」、「分別と多感」が上げられますが、自立した女性ではなく、やはり結婚で養ってくれる相手を探すのです。

現代では「セックス・アンド・ザ・シティ」のように、自立、結婚など女性のライフスタイル(仕事や恋、ファッション、そしてセックス)を描いていますが、ジェーン・オースティンの時代には成立しない社会背景です。

未亡人、独身女性は「肩身の狭い客人」として扱われます。

Northanger Abbey by Jane Austen Black Cat Publishing 2010 Anna and Elena Balbusso

アンナ&エレナ・バルブッソ 表紙 「ノーサンガー僧院」


アンナ&エレナ・バルブッソの表紙はゴシック小説を手にしているキャサリン。アン・ラドクリフの「ユードルフォの秘密」(The Mysteries of Udolpho)です。

アンナ&エレナ・バルブッソの挿絵本
□記事 トリスタンとイゾルデ 挿絵 アンナ&エレナ・バルブッソ
□記事  アンナ&エレナ・バルブッソの挿絵 オフィーリアの死

恋人と引き離されユードルフォ城に監禁されたエミリーの物語で、エミリーはそのカラクリ屋敷の怪奇現象に脅かされるのですが、キャサリンもノーサンガー僧院はユードルフォ城のような秘密めいた僧院という妄想に取り付かれます。

世間知らずというか、無知なキャサリン。

でも最近になって、オージアス・ハンフリーの描いた「ジェーン・オースティンの肖像」とされた作品をみると、このキャサリンと若い頃のジェーン・オースティンがオーバーラップされるのです。




artist Ozias Humphry Catherine Morland? Jane Austen?

オージアス・ハンフリー
ジェーン・オースティンの肖像


彼女の小説の映画やドラマのほかに、彼女自身が映画化された「ジェイン・オースティン 秘密の恋」では、評伝「ビカミング・ジェイン・オースティン」から生涯独身でとおしたジェイン・オースティンの恋にフォーカスされた物語。

財産や家柄ではなく愛こそが結婚というジェイン・オースティンとヒロインキャサリンは重ねあわすことができます。キャサリンは「どちらか一方に十分な財産があればもう一方には必要ない」というところの愛こそが結婚。悪女イザベラだと「本当に愛し合っていれば、貧しさそのものが豊かさになるわ。」といったところ。

貧しいけれども知的で洗練されたトム・ルフロイと博学なヘンリーの知性の高さはいっしょ。そして?

キャサリンとヘンリーは「ノーサンガー僧院(ノーサンガー・アビー)」で結婚しますが、「ジェイン・オースティン 秘密の恋」ではジェイン・オースティンとトム・ルフロイは、結婚することはありませんでした。



ジェーンの姉妹、カサンドラ・オースティンによるジェーンの肖像画は多く残されています。小説の表紙にも使われています。

Portrait of niece Fanny Austen Knight drawn by Cassandra Austen

ファニー・オースティン・ナイト
画 カサンドラ・オースティン


若い頃のジェーン・オースティンの肖像とも言われているようですが、姪のファニー・オースティンのようです。

Cassandra Austen

後姿のジェーン・オースティン
画 カサンドラ・オースティン




ジェーンはサミュエル・リチャードソンの「サー・チャールズ・グランディソン」がお気に入りで、暗記できるまで読んだといわれていますが、暗記ってできるものなのでしょうか?ボッティチェッリもダンテの神曲を暗記していたと言われていますが。

書簡体形式の「エリナとメアリアン」(1795年)は、サミュエル・リチャードソンを倣っていますね。この「サー・チャールズ・グランディソン」に登場するシャーロットが、「高慢と偏見」のエリザベス・ベネットのモデルとなったようです。

Samuel Richardson by Susanna Duncombe (née Highmore) National Portrait Gallery, London

サミュエル・リチャードソンの朗読会
スザンナ・ハイモア  ロンドン・ナショナル・ギャラリー


「ノーサンガー・アベイ」を含めて、登場人物は本が大好き。母親の愛読書に「サー・チャールズ・グランディソン」、そしてキャサリンも「ヒロインが読まなければならない本はすべて読んだ」とされています。

イザベラによって、ゴシック小説「ユードルフォルの謎」(アン・ラドクリフ)を読み始め、「イタリアの惨劇」(アン・ラドクリフ)も。「ヴェルフェンバッハの城」(1793、エリザ・パーソンズ)、「クレアモント」(1798、レジーナ・マリア・ロッチェ)、「不思議な警告」(1795、エリザ・パーソンズ)、「黒い森の魔術師」(1794、カール・フレデリック)、「真夜中の鐘」(1798、フランシス・ラゾム)、「ライン河の孤児」(1798、スリース夫人)、「恐るべき謎」(1796、カール・グロッセ)が、「ノーサンガー・アベイ」に登場するゴシック小説です。




Ann Radcliffe

ゴシック小説の大家
ラドクリフ夫人(アン・ラドクリフ)ではないかと


「人間らしい感情も悔恨の情もなく、悪業のかぎりを尽くし極悪非道の生涯を終えた人間たち」というのがオースティンの考えるゴシック小説で、小説の中でヘンリーが代弁しているのです。キャサリンは「ラドクリフ夫人の小説はすごく面白いけれど、ああいう小説には、人間性の忠実な描写を期待してはいけないのだ。」と思い知るのですが。

画像はラドクリフ夫人(アン・ラドクリフ)ではないかといわれる肖像画ですが、お顔はwikiにあるアン・ラドクリフの肖像と似ています。彼女もオースティン同様に6冊出版されています。オースティンとは違い既婚で、夫は作家でジャーナリスト。

ウォルター・スコット、ジョン・キーツに賞賛され、影響を及ぼした作家にはエドガー・アラン・ポーがいます。彼女の描く小説の世界の景色は画家サルヴァトール・ローザとクロード・ロランの絵画の景色を思い起こすロマンティックな描写でも有名です。

「イタリアの惨劇」は、マルキ・ド・サドの鑑賞に叶ったようです。イタリアでの異端審問と迫害のほか、フランス革命、宗教、貴族社会、国籍などの一般的な問題を扱った作品でもあるようですが、「惨劇」とあるだけに過激な作品らしいですが幸せな結末。真夜中に歩き回る幽霊など、シェークスピアの「ハムレット」を思い出します。

彼女の散文詩のような崇高で芸術的な文章は、オースティンが「人物描写を期待してはいけない」としていますが、ラドクリフ夫人に続くサド、キーツ、シェリー、ゲーテ、ホフマン、エミリー・ブロンテなどゴシック小説の系譜には文豪もいます。

「人物描写」は娯楽小説や風俗小説にこそふさわしく、ファンタジーやゴシック小説には必要がないともいえます。




William Gilpin: Picturesque Tours,Gilpin, Observations on the River Wye, 1770,Gilpin on the Wye, Forest Scenery

ウイリアム・ギルピンの水彩
「ワイ川紀行」(1770)から 森林風景


キャサリンの愛するヘンリーが「ピクチュアレスの美学」の概念を読んでいるのはウイリアム・ギルピンの「ピクチャレスク旅行記」の影響。ピクチュアレスは、マリー・アントワネットも「プチ・トリアノン」に取り入れた、人工の自然「ピトレスク趣味」に発展します。

1765年にトーマス・グレイが「かくなる恐怖にかくなる美がいかに結合するか」という概念を説いたところから、ホレス・ウォルポールが「ゴシック小説」と名づけられたのです。

この「ノーサンガー僧院」は「ゴシック小説」のパロディで揶揄ですが、「ピクチュアレス」に対して、「分別と多感」では、ピトレスク趣味を、エドワードは否定しています。ヘンリーもエドワードもヒロインの愛する人。

一人は「ピクチュアレスの美学」を、一人は「ピトレスク趣味」を否定とするのは、ゴシック小説の由来をオースティンは否定しているんでしょうか。




Frances dArblay (Fanny Burney)by Edward Francisco Burney National Portrait Gallery, London

女流作家 フランシス・バーニー(ファニー・バーニー)
親族エドワード・フランシス・バーニーによる肖像画


オースティンの肖像画も親族(姉カサンドラ)による肖像画が残っていますが、ファニー・バーニーの美しさが描かれている作品は、親族の腕前もご披露していますね。

ノーサンガー僧院の第5章では、ファニー・バーニーの著作本のタイトルが登場します。

 "And what are you reading, Miss — ?" "Oh! It is only a novel!" replies the young lady, while she lays down her book with affected indifference, or momentary shame. "It is only Cecilia, or Camilla, or Belinda"
 
「何を読んでいるのですか?」
「あぁ、ただの小説。」と言って恥ずかしそうに本を閉じた。「セシリアだったかカミラだったか、ベリンダだったかしら。」

「セシリアまたは女相続人の回顧録」は1782年に公開されました。

Yet this, however, remember, if to pride and prejudice you owe your miseries, so wonderfully is good and evil balanced, that to pride and prejudice you will also owe their termination

意訳
しかしこれは思えば、高慢と偏見の結果です。あなたが苦難を借りたおかげで終わることができ、感謝します。高慢と偏見を見事に善と悪との秤にかけたのです。

(高慢と偏見の苦難を借りることも、高慢と偏見の素晴らしさを借りることもできたのです。善と悪とのつり合いを取ることで終止符を打ったのです。)

ファニー・バーニーの「セシリア」(Cecilia)の最終章でドクター・リスターが、セシリアに向って言うのですが、ジェーン・オースティンはこの高慢と偏見を小説タイトルにしたのですね。

最終章では「忍耐、忍耐なの、サー?」というセシリア。この忍耐というのは、ジェーン・オースティンは「分別と多感」で、エリナーの性質に特色を与えました。

ジョージ3世の妃シャーロットの第二女官も努めたファニー・バーニーです。英作家で評論家、シェイクスピアの研究でも知られるサミュエル・ジョンソン(Samuel Johnson)とも親友です。

当時のジョージア王朝時代では評価が高い女流作家で、妹のサラ・バーニーも作家です。哲学者で政治家のエドマンド・バーク(Edmund Burke)、そして親友とした先にご紹介した英国でも偉大とされる評論家のミュエル・ジョンソンに好評価のファニー・バーニーは、意外にも小泉八雲(ラフカデイオ・ハーン)の評価は低く、ラフカデイオ・ハーンはジェーン・オースティンを高く評価しています。




Maria Edgeworth

マライア・エッジワース


ピーター・ラビットのビアトリクス・ポターも愛読していたロイヤル・アイリッシュ・アカデミー名誉会員のマリア・エッジワースは、スコット、ツルゲーネフにも影響を与えました。小説、児童文学を書きました。

反ユダヤ主義の発言をしたことで、1817年に書かれた「ハリントン」はユダヤ人社会への謝罪です。

オースティンのノーサンガー僧院で、ファニー・バーニーの著作本とともに、若い女性の曖昧な返答にあるベリンダ。

「あぁ、ただの小説。」と言って恥ずかしそうに本を閉じた。「セシリアだったかカミラだったか、ベリンダだったかしら。」

ベリンダこそ、マライア・エッジワースの小説で、出版3作目にあたり1801年の小説です。愛と結婚、理性と感情、自制と自由がテーマのようですが、削除されたのは英国女性とアフリカの使用人の異人種間結婚のセクション。まるで「分別と多感」のテーマのよう。

記事 分別と多感 ダッシュウッド姉妹とサドのJJ姉妹
記事 Dear, dear Norland マリアンの嘆き 「分別と多感」第5章 皮肉な人

父親は作家で発明家でもあった政治家リチャード・ラベル・エッジワースです。マライア以外にも著名な子孫を残しています。

父との共著に「実践的l教育」(1835)があり、ジャン・ジャック・ルソーの教育論とジョン・ロックの人間論を取り入れていますが、ジェーン・オースティンもジョン・ロックの思想を取り入れているという見方もあります。

記事 ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」出版200周年

ジェーン・オースティンは「あぁ、ただの小説。」と言って恥ずかしそうに本を閉じた若い女性の返答を「小説ほどひどい悪口をいわれたものはない」として、作中で抗議をする場面も有名です。

「小説とは偉大な知性が示された作品云々・・・」と続きますが、先のゴシック小説がその地位を下げたのだとオースティンはノーサンガー僧院で語りますが、こうした公言は、ファニー・バーニーの「エヴェリーナ」の男性作家と女性作家の差別、マライア・エッジワースの「ベリンダ」での小説ではなく道徳物語だという位置づけを同様にもちいた手法です。

ここが面白いのは、読者が「あら、もしかしてエヴェリーナ?」というひらめきを期待した謎々なのでは。マライア・エッジワースの「セシリア」を引き出しにしてジェーン・オースティンのこの謎々は、ファニー・バーニーの「エヴェリーナ」、マライア・エッジワースの「ベリンダ」という答えを期待していたのではないでしょうか。


 

J.M. Dent 1898 editions of Austens novels illustrated by C.E. and H.M. Brock

ジェーン・オースティン全集 1898 英国デント社出版
ノーサンガー僧院 イラスト C.E. ブロック




追記 2013.4 英国ロイヤルメールから、ジェーン・オースティンの記念切手が、「高慢と偏見」出版200年にちなんでで発売されました。その中の1枚が「ノーサンガー僧院」のキャサリン。

Jane Austen, Northanger Abbey ,  Queensway Press

右 2013年2月発売 ジェーン・オースティンの記念切手
左 ノーサンガー僧院 1935年 クイーンズウェイ出版


ジェーン・オースティンの記念切手、1935年出版の「ノーサンガー僧院」の表紙に似ていませんか?

記事 英国ロイヤルメール ジェーン・オースティンの記念切手
記事 アンジェラ・バレットのイラスト ジェーン・オースティンの記念切手
記事 ジェーン・オースティン 「高慢と偏見」出版200周年


コメント:著者ヴェラ・ナザリアンは、ジェーン・オースティンのパロディー「マンス フィールド公園とミイラ」(邦題)の出版の翌年に、この「ノーサンガー僧院」とのコラボ小説を発表しました。才能というよりもセンス抜群?

コメント:アンナ&エレナ・バルブッソの挿絵本「ノーサンガー僧院」(ジェーン・オースティン)をご紹介したかったのですが、残念ながらamazonジャパンではなかったので、ディケンズ「クリスマス・キャロル」のアンナ&エレナ・バルブッソの挿絵本をご覧ください。

Jane Austen
Penguin Classics
コメント:財産や家柄ではなく愛こそが結婚というジェイン・オースティンとヒロインキャサリンは重ねあわすことができます。

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